経営者保証ガイドラインと第二会社法を活用した再生スキーム -(手続き順序編)
経営者保証ガイドラインと第二会社法を活用した再生スキーム - 手続き順序のパターン
企業の再生を図る方法として、経営者保証ガイドラインと第二会社法を活用したスキームがあります。 これは、経営者の個人保証を解除し、事業を新しい会社に引き継ぐことで、再建をスムーズに進める方法です。 しかし、手続きの順序は、企業の状況や金融機関との交渉によって、いくつかのパターンがあります。 今回は、主なパターンを3つご紹介し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
パターン1:ガイドライン適用→事業譲渡→破産手続き
- M&Aコンサルタントや弁護士などの専門家に相談
- 専門家のサポートのもと、財務状況の改善、情報開示の体制整備を行う
- 金融機関と交渉し、経営者保証ガイドラインの適用により個人保証を解除
- 第二会社法に基づき、新会社を設立し、事業を譲渡
- 旧会社は破産手続きを行い、債務を整理
メリット
- 最初に個人保証を解除するため、経営者の精神的な負担が軽減されます。
- 事業譲渡前に財務状況を改善することで、より良い条件で譲渡できる可能性があります。
デメリット
- 金融機関の理解と協力が得られない場合は、個人保証の解除が難しい可能性があります。
- 財務状況の改善に時間がかかる場合、事業譲渡のタイミングを逃す可能性があります。
パターン2:事業譲渡→ガイドライン適用→破産手続き
- M&Aコンサルタントなどの専門家に相談
- 事業譲渡先を探し、交渉を行い、事業を譲渡
- 譲渡資金を元に、金融機関と交渉し、経営者保証ガイドラインを適用
- 個人保証を解除
- 旧会社は破産手続きを行い、債務を整理
メリット
- 事業譲渡を先行させることで、早期に資金を確保し、事業の継続性を確保できます。
- 譲渡資金を元に債務を一部返済することで、金融機関との交渉を有利に進められる可能性があります。
デメリット
- 個人保証が残った状態での事業譲渡となるため、経営者のリスクが残ります。
- 事業譲渡先が見つからない場合、再生計画が頓挫する可能性があります。
パターン3:事業譲渡→破産手続き→ガイドライン適用
- M&Aコンサルタントなどの専門家に相談
- 事業譲渡先を探し、交渉を行い、事業を譲渡
- 旧会社は破産手続きを行い、債務を整理
- 破産手続きと並行して、金融機関と交渉し、経営者保証ガイドラインを適用
- 個人保証を解除
メリット
- 事業譲渡を先行させることで、早期に事業の再生を図り、従業員の雇用を守ることができます。
- 破産手続きと並行してガイドラインの適用を交渉することで、手続きを効率的に進められる可能性があります。
デメリット
- 破産手続きが先行するため、企業の信用力が低下し、事業譲渡の交渉が難航する可能性があります。
- 個人保証の解除が遅れるため、経営者の不安が長引く可能性があります。
どのパターンが最適?
最適な手続き順序は、企業の置かれている状況、金融機関の意向、事業譲渡先の状況、そして経営者の希望などを総合的に判断して決定する必要があります。 いずれのパターンにおいても、専門家と連携し、状況に応じて柔軟に対応することが重要です。